PHP2Shell の二つの脆弱性は何が違いますか?
PHP2Shell は、PHP 公式が公表した二つの脆弱性をまとめた呼び名です。
| 内容 | CVE | 公式アドバイザリ |
|---|---|---|
| メモリ不足時の後始末による破損 | CVE-2026-109618 | GHSA-w8hw-w9fx-j79w |
| 古いグローバル状態の再利用 | CVE-2026-109619 | GHSA-6wmf-4rv5-p3rp |
一つ目は、リクエストの準備中に PHP がメモリ不足で中断されたとき、後始末の処理が準備しきれていないデータを使ってしまう問題です。二つ目は、リクエストが終わってメモリが解放された後も古い参照がワーカーに残り、次のリクエストで使われてしまう問題です。それぞれの詳細は CVE-2026-109618 と CVE-2026-109619 のページで解説しています。
PHP2Shell はどれくらい危険ですか?
PHP 公式のアドバイザリでは、深刻度は二つとも CVSS v4.0 で 9.2(10 点満点)です。リモートコード実行、つまり外部からサーバー上で命令を実行される可能性がある点で深刻です。成功すると、サイトのファイルの書き換え、設定ファイルにあるデータベースのパスワードの読み取り、裏口(Web シェル)の設置などができてしまいます。
PHP 公式は、Apache の mod_php 構成を最もリスクが高いとし、アプリの処理より前に届く攻撃経路を確認しています。ただし、すべてのサイトが同じ方法で攻撃できるわけではなく、PHP のバージョン、設定、アプリによって条件が変わります。
どの環境が PHP2Shell の対象ですか?
Web リクエストを処理する PHP はすべて更新の対象です。
| PHP の動かし方 | 対象 | 補足 |
|---|---|---|
| Apache mod_php | 対象 | PHP 公式が最もリスクが高い構成としている |
| PHP-FPM | 対象 | Nginx と組み合わせる構成やレンタルサーバーで一般的 |
| CGI / FastCGI | 対象 | |
| FrankenPHP | 対象 | |
| LiteSpeed | 対象 | レンタルサーバーで使われることがある |
| コマンドラインのみ | 一律の結論なし | 公開警告は Web リクエストが対象。ただし CLI 専用というだけで欠陥がないとは言えない |
Wiz は、少なくとも一つの問題が PHP 5.4 まで遡ると報告しています。古い PHP も安全とは言えません。
PHP2Shell はすでに悪用されていますか?
攻撃の試みは観測されています。Cloudflare は、修正が公開される前から PHP2Shell を狙った攻撃の試みを観測し、WAF の利用者向けに防御ルールを導入したと発表しました。Sansec は、大規模な悪用が起きると予想しています。一方で、攻撃による侵害が成功したことは、本サイトの確認時点(2026年10月22日)では確認されていません。IPA も事前告知の時点では悪用を確認していないとしていました。
侵害の成功が確認されていないことは、悪用されていないことの証明ではありません。更新を先延ばしにする理由にはなりません。SNS などで出回る「攻撃コード」は真偽が確認されていないものが多く、出どころの分からないコードは実行しないでください。
日本政府や各国の公的機関はどう呼びかけていますか?
日本では国家サイバー統括室(NCO)が公式 X で速やかな修正の適用を求め、すぐに適用できない場合はWeb サイトの一時停止もリスクを下げる有効策の一つだとしました。高市首相も X で同様の呼びかけを行い、警視庁サイバーセキュリティ対策本部も X で修正の適用に備えるよう呼びかけました。IPA は修正の公開前に、Web サイトで PHP の利用状況の棚卸しなどの事前準備を求めました。IPA の案内はサービスの停止までは求めていません。JPCERT/CC の PHP2Shell に関する注意喚起は、本サイトの確認時点では見当たりませんでした。
| 国・地域 | 機関 | 公表内容 |
|---|---|---|
| 日本 | 国家サイバー統括室(NCO) | 修正を速やかに適用し、できない場合はサイトの一時停止も有効な選択肢。 |
| 日本 | 内閣総理大臣 | 大至急のお願い:PHP の利用確認、修正の適用、適用できない場合の一時停止の検討、NCO の情報の確認。 |
| 日本 | 警視庁サイバーセキュリティ対策本部 | PHP の修正適用に備えるよう呼びかけ。 |
| 日本 | IPA(情報処理推進機構) | PHP 利用状況の棚卸し(製品・機器の組込みを含む)、サポート終了版の使用中止、修正公開後の速やかな適用。 |
| アメリカ合衆国 | NSA Cybersecurity | PHP を使う組織は直ちに更新を。できない場合は対象サービスのオフライン化を検討。 |
| イギリス | NCSC | 優先行動 8 項目:PHP の所在確認、更新、堅牢化。対策できない場合はサービス停止とバックドア確認。 |
| 欧州連合 | CERT-EU | 直ちにパッチを。できない場合は外部公開アプリを隔離。暫定対策は露出を減らすだけで、完全な修正は更新のみ。 |
| ドイツ | BSI | 修正公開前の警告:認証なしの遠隔コード実行の恐れ。当時、悪用は未確認。 |
| フランス | CERT-FR (ANSSI) | 警報:影響を受けるシステムを隔離し、サポート中の版へ移行。暫定回避策は CERT-FR 未検証。 |
| スペイン | INCIBE-CERT | 「重大」:修正版と 7.4/8.0/8.1 のソースパッチを掲載。暫定対策は完全な解決策ではない。 |
| スイス | BACS / NCSC.ch | 直ちに更新し、PHP を組み込んだ内部システム、管理画面、機器も確認。 |
| オランダ | NCSC-NL | 注意喚起と、PHP を組み込んだ製品の一覧(CERT-EU と英 NCSC が参照)。 |
| ポーランド | CERT Polska | 遠隔コード実行が可能な PHP の重大な脆弱性。直ちに更新を。 |
| アメリカ合衆国 | FBI Cyber Division | すぐ更新できなければオフラインに。PHP を棚卸しし、PHP プロセスからのシェル起動を監視。侵害は IC3 へ報告。 |
| カナダ | Canadian Centre for Cyber Security(原文は未確認) | 修正版への更新を推奨。 |
| シンガポール | CSA / SingCERT | 認証なしの遠隔コード実行に悪用されうる。直ちにパッチを。 |
| 中華人民共和国香港特別行政区 | GovCERT.HK | PHP の複数の脆弱性に関する高リスク警報(両 CVE を含む)。 |
いずれも2026年10月21日に公表。
修正版はどのバージョンですか?
| 系列 | 最初の修正版 |
|---|---|
| PHP 8.2 | 8.2.35 |
| PHP 8.3 | 8.3.36 |
| PHP 8.4 | 8.4.27 |
| PHP 8.5 | 8.5.12 |
| 8.1 以前 | 新しいリリースなし(7.4・8.0・8.1 は公式ソースパッチあり) |
PHP 8.1 以前のサポートが終わった系列には、新しい公式リリースは出ていません。PHP 公式は 7.4・8.0・8.1 向けに最小限のソース修正を公開していますが、保守の再開ではありません。対応は PHP サポート終了版と php2shell、全体の手順は php2shell 対処法を見てください。
PHP2Shell と wp2shell は関係がありますか?
別のものです。wp2shell は WordPress 本体の別の脆弱性で、WordPress を更新すれば修正されます。PHP2Shell は PHP 本体の問題です。名前が似ているため混同されがちですが、対処は別々に必要です。自分のサイトが対象かどうかは PHP2Shell チェッカーで確認できます。
情報源
このページの主要な事実(修正版、CVE の内容、配布元のパッケージ、公的機関の呼びかけ)は公式の情報源にもとづいています。研究者の報告、報道、コミュニティの投稿はそれぞれ区別して表示しています。
- RCE via OOM corruption公式 The PHP Group
- RCE via stale global state公式 The PHP Group
- Security advisory: Critical remote code execution vulnerabilities, update now公式 The PHP Group
- PHP2Shell: AI uncovers critical RCE vulnerabilities affecting 70% of the Internet研究 Wiz Research
- Cloudflare deploys protections against php2shell vulnerabilityCDN 事業者 Cloudflare
- PHP2Shell: Critical PHP RCE (CVE-2026-109618, CVE-2026-109619)研究 Sansec
- 【事前準備のお願い】PHPのセキュリティリリース公開予定について公式 IPA(情報処理推進機構)
- 修正を速やかに適用できない場合、サイトの一時停止も有効策(X)公式 国家サイバー統括室(NCO)
- 更新プログラム公開、速やかな適用を(X)公式 国家サイバー統括室(NCO)
- 「大至急のお願い」PHP の利用確認・修正適用・一時停止の検討(X)公式 内閣総理大臣 高市早苗
- PHP の修正適用に備えるよう呼びかけ(X)公式 警視庁サイバーセキュリティ対策本部
- CVE-2026-63030: wp2shell, a critical remote code execution vulnerability in WordPress Core研究 Rapid7